学校で学ぶ各教科。
教科によってそれぞれやることは異なりますが、実は最終目標に共通点があることはご存じでしょうか。
それは「自ら表現できるようになること」。
例えば、
国語:文章で表現する
数学:数式で表現する
美術:制作物で表現する
音楽:音で表現する
表現方法は異なれど、「表現する」。これが学校が生徒に目指してもらいたい最終目標になります。
しかしいきなり表現することを求めても、学生たちは何もできません。
絵を描くのに絵の具の使い方を、演奏するのに楽譜の読み方を学ぶように、実際に表現する前に「表現の仕方」を学ぶ必要があります。
ただ美術や音楽に比べ、国語や数学などは「表現の仕方」を学ぶのに授業の大半を費やします。
そのため、「前段階として表現の仕方を学んでいる」授業が「その教科の中身そのもの」だと思ってその教科を嫌ってしまう学生は数多くいます。
演奏がしたいのに基礎練をひたすらさせられているのを面白くないと感じるようなものです。
面白くないと感じるのは仕方がないとしても、それで早くも見切りをつけて学ぶ事自体をやめてしまうのはもったいないことです。
基礎練をしっかりこなしていればいつか素敵な曲を演奏する時が来るのですから。
数学の授業では、最初に生徒に以下のように話します。
「今君たちが学んでいる数学は絵の描き方を習っているだけで、まだ絵を描いていない」
「今の内容が面白くなくても、実際に絵を描くようになれば面白く感じる人もいる」
「将来数式で絵を描けるようになるため、今は地道にやり方を覚えよう」
中学時代に数学が好きでないと言っていた生徒が、大学で理系に進み研究をこなしている、ということはよくあります。
私たちは授業では絵の描き方しか教えることが出来ませんが、生徒が将来数式で絵を描けるよう、「ここはこういう絵を描くとき時に使う」と上記のような「今後の話」を絡めながら授業を進めることで、今の時点で生徒が少しでも前向きになれるよう心がけています。